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TEXTILE MUSEUM vol.14

2022年10月31日

TEXTILE MUSEUM vol.14

TEXTILE NAME#14 秋づくし

 

FEATURE COLLECTIOIN

1998-99 FW COLLECTIOIN

―森の秋 山の冬―

 

THE STORY OF TEXTILE

パリコレに参加した2シーズン目です。
いろんな色のチェックやツイードの布を手で葉っぱの形に切り抜いたものを、ランウェイ全体にばらまく演出をしました。膨大な数の葉っぱを、みんなで…といっても当時は少人数で、泣きながら切りましたね。コレクションのインビテーションも手作りで、紙を葉っぱの形に切り抜いて、周りをハンドステッチでかがったものを何百枚と用意しました。今でも姉が「あれは大変だった」と言うほどの思い出です。

テーマが「森の秋 山の冬」だったので、紅葉の美しさみたいなものを、ニットコートにしたらどうだろうと考えました。
よくヴィンテージのもので、デイジーステッチでニット全体が埋めつくされたようなファンシーなニットがあるのですが、そのアイデアを、シックに表現しました。

紅葉やクヌギなど、いくつかの種類の葉っぱと、山ブドウをアクセントにした柄の刺繍で、ニットコートのボディ全体を埋め尽くしたコートは、今ではとてもつくろうという気も起きないほど、手がこんだ贅沢なもの。しかもニットだからそこまで重くないんです。当時だからできたアイテムですね。


今よりも昔のほうが「季節」にこだわっていたので、秋の季節を代表するアイテムというと、このニットコートを思い出します。当時コレクションのヘッドドレスはデザイナーのスティーヴンジョーンズにつくって貰っていたのですが、彼らしい遊び心満載のレザーの紅葉の帽子をデザインしてくれたのも忘れられません。

今は僕の手元にこのニットコートのアーカイヴが残っていないので、まさに幻のアイテム。今見てもきっと素敵だと思うので、もしお持ちの方がいらしたらご連絡いただきたいです。