３０周年におもうこと。

１９９４、、、
まだ、インターネットもSNSも何もなかった頃
僕も痩せっぽっちで怖いもの知らずで、何だか毎日が慌ただしく、ただ、ただ、がむしゃらに色んな事に走り回っていたあの頃。
４月２０日。表参道の「キーウエストクラブ」という、バブルの頃に真っ白な空間の吹き抜けの天井には飛行船があって、とても賑わっていたカフェバーの跡地（既にその時は店の営業は終わっていて貸しスペースになっていた。）にて、手作りで、青くて、熱くて、とにかく一生懸命な、、、そんなKEITA MARUYAMAのデビューSHOW！！！
それが全てのはじまりだった。
デビューまでの話はまたどこかで語るとしよう。

其処から長い旅がスタートして３０年という月日を迎えた。
コレクションにして、ざっと６０回。とてもとても長い時間でもあり、あっという間だった気もする。本当に色んな事があった。たちいかなくなるピンチも幾度となくあった。沢山出会ったし、沢山別れた。語り出せばとてつもない色んな話が溢れ出し、こぼれ出し、どれだけ時間があっても
足りはしないから、今はやめておこう。とはいえ、３０年。０歳が３０歳になる。。。
まあまあな時間である。
何しろインターネット以前からやっているのだから（笑）パリコレなんて、国際電話もFAXも、異常に高くて、その頃の、ParisからTokyo に送った仕事のFAXが節約の為一枚の紙にびっしり小さい文字で書いてある資料がこの間出てきて、なんとも涙ぐましい気持ちになった。
今の人が聞いたら、えっ？！マジですか？？っていう古い御伽話のような感じだけど、、、、
時代といってもいいくらいの時を越えてきた。

「晴れの日の服を創る」自分で最初に言ったのか、誰かが書いてくださったのか、今となってはさだかではないけど、そんな志のようなモノを持っていた若き日の僕は、僕等は、色んな波を乗り越えながら、時には交わしながら、真面目にコツコツと、気が遠くなるくらい、沢山の仕事を重ねて来た。もちろん、皆さんもそうだと思うし、人生とはそういう事だと知っているけど、
それでも、その沢山の丁寧でうつくしい仕事は
誇らしく思っても良いのではと、胸を張りたい。

２０２４、、、

数年前から世界中がウィルスでやられ、歴史上でも最悪ともいえる状況が続き、災害やら、
戦争やらも始まってしまっていく中で、３０周年という節目の年を、一体、どんな風に過ごそうかと考え始めた。そして答えが出せぬまま、わやわやと迎えてしまっているのだけれど、、、
ただひとつだけ、強く想っている事がある。
それは、自分達が創ってきた、経験や、アーカイヴや、仕事を、次の世代や、未来へ繋げていくということ。
僕が、僕等が、持っている、全ての知識や、智慧や、なにか創ってきた意味の有る、モノやコトがあるとしたら、それを出来るだけ「伝えていきたい」という事。

デジタルというツールで世界は大きく変化して、テクノロジーの進化と共に、表現の仕方もハードウェアも、全然変わってしまったけれど、服や、モノを創るという事、人の生きるよろこびみたいなモノ、美しいと願う想い、、其れは何も変わらないと。

だからこそ、今、色々見ていただいて、感じていただけたらなぁと思うのです。

KEITA MARUYAMAというブランドについて、３０年前の僕が、インタビューに、
「「引き継がれる服」を、親から子供達に、、古着屋さんで、次の世代に、、、
そんな風に捨てられない、人生や想い出に寄り添う服がつくりたい。」
と答えています。メルカリなんて仕組みがこんな風に当たり前になるなんて、
知るよしもなかった２８歳の僕の言葉。

３０年やってきたら、まるでご褒美みたいに、その夢が叶っている。。。
世代を越えて着ていただけている。
沢山の共に、時代を生きてきた人達に、寄り添うようにKEITA MARUYAMAがあるとしたなら、こんなにうれしくて幸せなことはない。

今まで関わってくれた全てのスタッフやお取り引き様や、関係者の皆様、
何より、ケイタマルヤマを愛してくださった、沢山のお客様に、、
心からの感謝を込めて。

そしてこれからはじまる明るい未来を願って、２０２４年は走り抜けます。
fashionとは、人生に彩りをくれる全てのコト。。。

KEITA MARUYAMAはこれからもfashionを創り続けていきます。
皆様、よろしくお願いします。


ファッションデザイナー
丸山敬太