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丸山敬太の徒然なるままに vol.14

2022年10月31日

丸山敬太の徒然なるままに vol.14

チャイナドレスストーリー

 

僕はチャイナドレスが好きだ。。。

正しくはチャイナドレスを身に纏った美しい人が好き。

 

何故好きなのかは、全くわからない。

良く僕の中にあるオリエンタリズムやシノワズリのテイストはどこから来るのか?と問われることがあるのだけれど、まったくもって、理由などない。

親戚に中国の方がいるわけでもなく、子供の頃の原体験もない。

 

香港や上海に出かけていくのももっとずっと大人になってからのことだ。

 

子供の頃の想い出としてひとつあるとするなら、まだ、4、5歳の頃だろうか、、、写真に残っている僕はそれぐらいに見えるのだけれど、父の友人だった中国の方が僕にくれた絹のグリーンのプロケード織の綿入れがいたくお気に入りで、冬になればそれをずっと着ていて、大きくなって着れなくなってもなおせがんで、着たがったそう。僕自身は全く憶えていないのだけど、、、写真には確かにご満悦にみえる僕が写っている。

最初にチャイナドレスを意識したのはいつなのだろう、、、。

旧い映画の、慕情や、上海エクスプレス、、はたまた、中学の時にみた、寺山修司さんの舞台や映画の中の山口小夜子さんの、怪しげなドレス姿なのか、、、

上海バンスキングの吉田日出子さんや、映画バージョンの松坂慶子さん。。。

(随分屈折した中学生でした。今思えばw)はたまた、本の中で読んだ、李香蘭さんのドラマチックな人生、、、

 

何から影響を受けたのかはさっぱりわからないけれど、今となっては前世か何かの記憶としか思えなかったりもする。

 

もちろん、ファッションの世界では、ウォンカーウェイの花様年華が、2000年に発表されると、マギーチャンの官能的で衿の高い美しいチャイナドレス姿に一気に流行のスタイルになるのだけど、何故だか僕は94年のデビューコレクションからずっと、チャイナドレスやら、シノワズリを創り続けているのである。



先日、お客様1人1人に合わせて、チャイナドレスのオーダー会なるものをやらせていただき、お一人おひとり採寸をして生地を選びデティールを詰めて創りあげる、クチュールの魅力に僕自身もとても楽しく、又、いろいろと発見もあって、何より、世界に一着しかないそのドレス達を創ることがうれしくもあり、12月には、チャイナドレスを着て、皆で集まるパーティーも企画しているので今からワクワクしながら、ドレスを仕上げていきたいと思う。

 

昔、香港のそれこそ花様年華のマギーのドレスを創ったセントラルにある仕立て屋さんに、姉と一緒に行った時に、沢山の生地の中から姉が選びあぐねていたのだけど、何故かテキパキと、それに的確な指示を出し、フィッティングにも意見を申す(出過ぎた真似ですが笑)僕に、その伝説の仕立ての名人の紳士が、「あなたは腕が良いから、うちで働かない?」とスカウトされたのは、僕の自慢でもあります。

 

スタイルが良くないと似合わないと思っていられる方がものすごーく多いのだけど、実はそれは間違っていて、実は、スタイルを良く見せる服。

 

背筋がのび、細いところはより、細くみえ、高い衿が首を隠し、深いスリットが脚に影を創り、よりセクシーに美しくみえるカットに。。。

 

着物と一緒で、着ると動作がエレガントになる。。。

本当に魅力的なドレスだと想うのです。