TEXTILE MUSEUM

2021年09月09日

TEXTILE MUSEUM

ARCHIVES OF KEITA’S GRAPHIC WORLD


1994年のブランドデビュー以来積み重ねてきたKEITA MARUYAMAの歴史を語るうえで、切り離せないのが、オリジナルの柄をプリントや織りで表現したテキスタイルの存在です。これまでの柄のアーカイヴは千点をこえるほど、デザイナー・丸山敬太がテキスタイルにこだわり続けているのは、こんな理由がありました。

「日本の着物というカルチャーの、“季節を纏う”という考え方がすごいと思っていて。柄の合わせ方で、その人のキャラクターを表現していくことは、日本人ならではの繊細な感覚。“この着物の柄はこの季節にだけしか着られない”というふうに季節を纏うことで、自分が楽しいだけでなく、見る人の目も楽しませ、そこにはコミュニケーションが生まれます。僕はファッションはコミュニケーションだと思っているので、その感覚に共鳴しているんです。着物の形自体はなかなか残せなくても、そのスピリットは残していきたい、洋服に取り入れたいと思って始めたのが、オリジナルのテキスタイルのスタートです」

「戦前の、着物から洋服に代わっていく過程の和洋折衷していた時代は、ヨーロッパの影響を強く受けていました。日本も古伊万里柄のティーカップや、着物の生地で作ったドレスなんかを輸出していたんです。今もそれが続いていたら、というイメージで、桜の季節に着るための桜の刺繍をしたニットをつくったり。さらにそこから進化して、季節だけでなくそのシーズンのコレクションや自分の持っているイメージを柄で表現して、身に着けてもらうという風に進化して、今の形になっています」

この特集では、KEITA MARUYAMAのテキスタイルアーカイヴの中から毎回1点をピックアップ。原画を改めて見つめ、その柄が生まれた背景やモチーフの解釈などを紐解くことで、柄の美しさにいっそう奥行きのある魅力を発見できるはず。



TEXTILE NAME#1 Shangri-La

FEATURE COLLECTIOIN
2021 AW COLLECTIOIN
―Spirits from 《Shangri-la》―


IMAGE WORDS OF COLLECTON


THE STORY OF TEXTILE

季節や自分のイメージをシグニチャーとなるような柄というかたちでコレクションで表現するのは、KEITA MARUYAKAとしては“必然”のことと捉えています。

今回の“Shangri-La”柄は、2021年秋冬のコレクョンで登場したもの。今いちばん伝えたい“Happiness”や“Bordeless”というメッセ―ジがこめられています。

“Shangri-La”は、チベットよりもさらにさらに奥にあるとされている理想郷で、西と東が交差した場所という設定です。ちょっとオリエンタルなニュアンスがある点でもKEITA MARUYAKMAらしいテーマだと思います。

“Shangri-La”は愛に溢れていて、この世のものもあの世のものも、想像上の動物たちも、実際にないとされているような不思議な果物や花、そういったものがみんなハッピーに、ピースフルに暮らしているというイメージが描かれています。

だから仏さまもいれば、イスラムっぽい建物もあるし、お獅子がいたり龍がいたり、ガネーシャがいたりするんです。

この原画は、KEITA MARUYAMAのほとんどの柄をつくるときにお願いしているテキスタイルデザイナーの田中良枝さんが手描きで仕上げたもの。

昔は手描きのテキスタイルが当たり前でしたが、今はデジタルがほとんどで、手描きは珍しくなっていますよね。

僕が田中さんと出会ったのは、まだ会社員として勤めていたころ。そのブランドが田中さんにテキスタイルデザインをお願いしていて、その唯一無二の感覚が好きで、自分がブランドを立ち上げるときは、絶対に田中さんにテキスタイルを描いていただきたいと思っていました。

デビューコレクションのときはオリジナルの生地を作る余裕もなかったけど、デビュー2シーズンめで一番最初の柄をお願いして以来のおつきあいです。

テキスタイルデザインの発注の仕方はコレクションごとに違っていて、これ!というものを具体的に伝えるときもあれば、要素をたくさん渡して解釈してつくってもらうことも。

“Shangri-La”に関しては、ネパールの資料や、タイで見たお寺の変な動物達や曼荼羅など、自分がこれまであちこち旅しながら見てきたものの中から、今回のテーマに合う素材を集めて描いてもらいました。

最初にラフを起こしてもらう時点では、毎回必ずしもイメージとぴったり方向性が合っているわけではありませんが、“Shangri-La”は比較的このまま、スムーズに決まりましたね。

田中さんはKEITA MARUYAMAを支えてもらっている大切なキーパーソンなので、田中さんがテキスタイルデザインを描けなくなったら、KEITA MARUYAMAはもうアーカイブだけで生きていくしかない。なので、目を大切にしてもらおうと、一生懸命ブルーベリーを渡したりしていますよ(笑)。